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Interview 07

村上 章 農学研究科長・教授

PROFILE

1956年、広島県生まれ。大阪府立豊中高校、京都大学農学部卒業、大学院工学研究科(土木工学専攻)修士課程修了。農学博士(京都大学)。兵庫県庁、助手、助教授、岡山大学教授を経て、京都大学大学院農学研究科教授、2019年より農学研究科長・農学部長。専門は地盤工学、農業土木学。地盤工学会前会長、農業農村工学会会長。

本インタビューは『京都大学のFD 2019』に掲載されたインタビューを転載したものです。

日本で最大級の農学部のもつ多様性

農学部・農学研究科は多様な学問分野を含んでいますが、学部・ 研究科を束ねていく上で苦労されているのはどんな点ですか?

京大農学部の学生定員は300名です。これは、日本の国立大学農学部では最大級で、東大でも290名です。そのため、当学部には100ぐらい研究室があります。それらの多くが、農学部総合館の中に入っており、この建物は吉田キャンパスの中で最大です。専門が異なり向いている方向は違うのですが、建物ぐらいは一緒にいようという冗談があります。

農学部は学問分野も多様ですが、教育も多様です。例えば、必修科目がかなりあるところからゼロのところもあります。課題研究(=卒業研究)ですら、必修のところもあれば、そうではないところもあります。演習や実験が多いイメージがあると思いますが、座学だけで研究室に所属しないで卒業していく学生もいます。「束ねる」と言われましたが、それは運営上の話で、教育的には束ねようがないところがあります。

学部は6学科で大学院は7専攻ですね。学部と大学院はどんな ふうにつながっているんでしょう?

まず、学科の大きさにかなりばらつきがあります。一番大きな資源生物科学科は1学年の学生数が100名近く、森林科学科と応用生命科学科は50名前後です。あとの地域環境工学科、食品生物科学科、食料・環境経済学科は40名弱です。一番大きな資源生物科学科の学生は4回生から複数の専攻の研究室に分かれていきます。その一方、学科と専攻が同じところもあります。入試は学部一括募集ですが、学生は最初からいずれかの学科に所属しています。転学科はしないけれど他学科の科目を多く履修して、大学院から他専攻に進学するという学生もいます。また、生命科学研究科や地球環境学堂と学部兼担の教員もおられますので、大学院からそちらに進学する学生もいるのです。

コースツリーと3ポリシーの作成で明らかになったこと

そうすると、カリキュラムもかなり複雑になりますね。

コースツリーを作る段階で、カリキュラムの体系性や階層性を改めて意識するようになりました。学科ごとにコースツリーを作っていますが、学生にとっても科目間の関係などがよく見えるようになったと思います。

3ポリシーのうち、アドミッション・ポリシーで、どういう学生に入学してほしいかをかなり具体的に示すようになりました。例えば、特色入試における食品生物科学科の求める人物像では、大学卒業後、修士・博士後期課程に進学して博士の学位を取得し、大学院修了後、国際的に活躍する人材と謳っています。

ディプロマ・ポリシー(DP)については、農学研究科の修了時にアンケートを行っていて、2017年度からは、DPの到達度を尋ねるようになりました。修士課程、博士後期課程、それぞれ4つの方針を掲げていますが、4段階評価で4(十分)が30 ~ 50%強で、3(どちらかといえば十分)をあわせると、いずれもほぼ90%になります。唯一の例外は、修士課程のDPの「研究成果を世界に向けて発信できる語学力」で4が20%台いる一方、2(どちらかといえば、不十分)も20%台います。ここはまだ改善の余地があります。

盛んな国際交流

農学部・農学研究科は国際交流にも力を入れておられますよね?

部局間交流協定は、現在、学術交流で64、学生交流で63に上っています(重複あり)。アジアが約2/3、他は欧州、北米などです。外国の大学への派遣や留学生の受け入れは京大の部局の中で盛んな方だと思います。一方、大学間協定では、特にインドとの大学間協定に力を注ぎ、今6つある協定のうちの5つに関わりました。インドからの留学生は、勉強で身を立てるという気持ちで、インドを背負って勉強するせいか、非常に優秀です。京大全体としてもインドからの留学生の受け入れにもっと力を注いでもよいのではないかと思います。

そのほか、G30で修士・博士学生対象の「農学特別コース」を設置して、英語だけで学べるようにしているのも、当研究科科目の特徴ですね。

これからのFDについて

最後に、部局のFDやその支援について何か一言あれば。

FDの研修会は年に一度開催していますが、80名をこえる教員が参加します。農学部の授業では、フィールドワークとか実験とかいろいろな授業形態がありますが、座学の科目を含めてどのような教育法があるのかは、大いに参考になります。そうした研修をやっていただけると、関心をもつ教員は増えると思います。

村上先生と、インタビューを行った高等教育研究開発推進センターの松下佳代教授
撮影:木崎稜平 (京都大学高等教育研究開発推進センター教務補佐員)

(収録日2019年11月28日)


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