京都大学高等教育研究開発推進センター 京都大学高等教育研究開発推進センター

2020年9月24日、Zoomを用いたオンラインによる「京都大学新任教員教育セミナー2020」を開催しました。本セミナーは、本学に採用された新任教員および助教から昇任された教員を対象に実施しています。セミナーでは「今の時代にふさわしい京都大学らしい教育」とはどのようなものかを探求することを目的とし、日本の大学教育の動向や京都大学の教育改革について知り、実際に直面している教育に関する問題や学生指導上に関わる課題などについて共有したりする場所になるようプログラムを構成しています。今年度は、特に、コロナ禍における教育のあり方について考えるためのグループディスカッションセッションを特別にもうけました。具体的なプログラムやセッション3のグループ別セッションの内容については,FD研究検討委員会のサイトにて紹介しています。

今回の参加者は,当日配布資料の名簿に掲載された人数が191名、Zoom上では一番多いときで、170名程度でした。

全体会では、まずセッション1として、北野正雄教育担当理事・副学長より「現在の大学教育の動向と京都大学の教育改革」と題したオープニングレクチャーがありました。教育改革の方向性に大きな変化はないものの、コロナ禍においてこれまで当たり前にできていた教育活動ができなくなり、あらためて授業やキャンパスの役割、京都大学の目指すべき教育の姿が問われることになったとの指摘がありました。セッション2は、前期に実施したオンライン授業に関する教員調査の結果を参考に、コロナ危機の中で京都大学の教育をどう進めるか、という点について考えるグループディスカッションでした。教員調査からは、オンライン授業に対する一定の手応えを感じる結果が見えつつも、学生とコミュニケーションをとることの難しさや評価手法の問題、学生間の繋がりを作ることの難しさやオンライン授業準備の過剰負担など、様々な課題が感じられていることが報告されました。セッション3は、参加型セッションとして、用意した4つのテーマごとに分かれてのワークショップがありました(表2)。例年、最後には再度全体で集まりジグソー形式によるインテグレーションセッションが行われていましたが、今年度はセッション3でテーマごとに異なるZoomミーティングルームを利用する形式としたため、それぞれのセッションが終わった段階で解散となりました。

参加者の事後アンケート(80名(教授5名、准教授17名、講師13名、助教45名)より,9割以上の方から有意義であった(「非常に有意義」から「まったく有意義ではない」の5段階)との高い評価を得られました。
今後、取り上げるといいであろうテーマとしては、「研究教育の国際化」「課題の与え方」「教育現場におけるハラスメント」「研究指導」「自殺対応」といった様々なものが提案されました。自由記述より,今回は特に、コロナ禍での新規採用で、同僚との交流もままならない状況であったため、こういった機会があってよかったとの声をお寄せいただきました。また、オンラインでの実施になったことについては、ツールを使ってインターラクティブにセッションが進められていたこと、ブレイクアウトセッションで少人数で話ができたこと、などにおいて評価をいただきました。それ以外にも「大学教育全体の動向を知れたことはよかった」「研究だけでなく、人を育ていることがとても重要であることがよく理解できた」「改めて教育や研究室について考えるよい機会になった」「他の研究科や研究室の様子を知ることができて良かった」「ロールプレイは参考になった」「オンライン授業のあり方について、専門家の意見を聴きながら考えることができてよかった」といった評価をうけました。

一方、改善点としては、タイムマネジメントの必要性、ブレイクアウトセッションの進め方に対するより詳細な説明やセッションの人数調整などが指摘されました。いただいた意見も参考にしながら、今後もよりよりプログラムになるよう改善していきたいと思います。

オープニングレクチャー「現在の大学教育の動向と京都大学の教育改革」

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