オンライン授業における著作権について

オンライン授業に関係する著作権について整理しました。
基本的な考え方
2018年5月に著作権法が改正され、「授業目的公衆送信補償金制度」が設けられました。同制度では、学校の設置者が各分野の権利者団体で構成される「指定管理団体」に一括して補償金を支払うことで、著作権者による個別の許諾を要することなく、著作物をオンライン授業においても、対面授業の場合と同様に利用できることとなります。
2021年4月1日から補償金規程に基づき、本制度が運用されます。この制度は、学校の設置者が各分野の権利者団体で構成される「指定管理団体(SARTRAS-サートラス-)」に一括して補償金を支払うことで著作権者の許諾は不要となるものです。
個々の事例に即した本制度の運用指針に関する説明は、SARTRASのHP上で公開されている以下の資料をご覧ください。
「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」
授業資料の著作権保護について
授業資料の著作権について、あらかじめ学生に周知しておくことが必要です。
下記のページで、授業教材としてLMSにアップロードした以下の動画・論文等の著作権について、学生へ注意喚起を行う例を記載しています。
・著作権保護の重要性について(「学生に何を伝えるか」)
また、授業をオンラインで履修する際の学生への注意事項を以下にまとめてあります。
(学生向け)「オンライン授業を履修するにあたっての注意事項(通知)」(2021年3月23日改正)
「適法引用」の方法
著作物の引用チェックリスト
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「引用されて利用される側」の著作物が、すでに公表されたものであること。
※未公表の手紙、日記、論文は不可です。 -
「引用されて利用される側」の著作物が、「引用して利用する側」の著作物と明瞭に区別できること。
※言語の著作物(論文など)を引用する場合
→カギ括弧でくくったり、フォントを変更するなどする必要があります。
※図表、写真、絵画の著作物を引用する場合
→引用箇所を脚注で表示したり、出所を明示する必要があります。 -
「引用されて利用される側」の著作物に、題名や著作者などの「出所の明示」をしていること。
※一般的には題号、著作者名を表示することが原則です。
※出版物の場合には、出版社名あるいは掲載雑誌名、著作者が収録されている版、巻号などの表示をしてください。
※「引用されて利用される側」の著作物に接着して出所を明示してください。 -
「引用して利用する側」の著作物が主、「引用されて利用される側」の著作物が従の関係があるといえること。
具体的には、次の1から3のとおりです。- 講義のために、その引用をする必要性があること(引用の目的と必然性)。
※何ら必要性がないのに「参考程度に引っ張ってくる」というだけであったり、「引用されて利用される側」の著作物(たとえば絵画や写真など)を鑑賞するという目的の場合には、不可です。 - 引用の目的を達成するために、必要以上の分量ではないこと。
※「引用されて利用される側」の著作物が、「引用して利用する側」の著作物よりも掲載スペースが大きい場合には、主従関係が逆転していると評価される可能性が高くなります。 - 「引用されて利用される側」の著作物の一部を勝手に改変・削除していないこと。
※引用の態様が不適切な場合には、適法引用とはなりません。
- 講義のために、その引用をする必要性があること(引用の目的と必然性)。
京都大学OCWでは、以下のような流れで引用処理を行っていました。
・「引用処理フローチャート」(CONNECTの公開終了により国会図書館のアーカイブページからご覧ください)
「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)」について
教員自身が作成した教材等の著作物をオンライン上に公開する際、利用者に対してあらかじめその著作物の利用条件を電子的に付与する「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)」があります。
・「表示(クレジットの表示)」
・「営利/非営利」
・「改変禁止(内容の改変の禁止)」
・「継承(再配布時のライセンスの継承)」
の4つの条件の組み合わせで、6種類のCCライセンスを著作物に付与して公開することができます。
CCライセンスは、著作者の権利を主張する「著作権」とすべての権利を放棄する「パブリック・ドメイン」の中間的領域において、限定した権利をライセンスとして著作物に対して付与するものです。CCライセンスにより、学生が利用条件を判断できますので、教材をオンラインで公開する場合に参考にして下さい。
(参考)クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)