Topics開催報告

学内ワークショップ
「部局・教員・学生のニーズに合わせた教育・学習支援のためのICT活用について考える」

公開日:2018年4月23日 

2018年3月8日、本学の教職員向けのワークショップ「部局・教員・学生のニーズに合わせた教育・学習支援のためのICT活用について考える」(主催:京都大学高等教育研究開発推進センター 教育コンテンツ活用推進委員会)を開催しました。

2017年度に構築された京都大学のSPOC(Small Private Online Courses) 環境であるKoALAや、2014年度より「KyotoUx」名義で全世界に公開されているMOOC(Massive Open Online Courses)、サービス開始から15年が経過しコンテンツ数も計700を超えたOCW(OpenCourseWare)、そして本学で2012年度から運用されているLMS(Learning Management System: 学習管理システム)のPandA。

これら本学が運用・管理する教育向けICTツール・プラットフォームを、実際の教育・学習支援にどのように活かすことができるか、また導入の際にどのような課題があると思われるかについて、学内13部局から参加された23名の教職員の方々に議論頂きました。

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左:当日の司会を務めた田口 高等教育研究開発推進センター 准教授。
右:グループワークの様子。参加者からは時折笑顔がこぼれていた。

プログラム

2018年3月8日(木)於 吉田南1号館 201号室

司会:田口 真奈(高等教育研究開発推進センター 准教授)

話題提供1

11:45~11:50 「本学におけるSPOC・MOOC・OCW・LMS活用の概要」
  飯吉 透(高等教育研究開発推進センター センター長・教授)

話題提供2

11:50~12:05 「学内における教育コンテンツの活用事例について-SPOCを中心に-」
  酒井 博之(高等教育研究開発推進センター 准教授)

グループワーク

12:05~12:45 「部局・教員・学生のニーズに合わせた教育・学習支援のためのICT活用について考える」

話題提供1

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飯吉 高等教育研究開発推進センター長・教授による話題提供の様子(画像クリックで動画ページ【学内限定】にリンク)。

本ワークショップでは、まず、飯吉 高等教育研究開発推進センター長・教授より、SPOC・MOOC・OCW・LMSの活用方法について話題提供がありました。

本学でどのようなICT活用教育のための基盤が整備されているかが紹介された上で、そこでは、それらICTを既存の講義の中で補完的に使うだけでなく、高大接続、リカレント教育との接合、留学生に対する教育的な手当て、事前学習といったことが考えられる旨が紹介されました。

さらに、今日の世界的潮流として、授業単位や講義単位の中でのBlendedな学習だけでなく、単位や学位といった制度の中でのBlendedな運用の可能性があるという展望が示されました。

当日の説明資料はこちら【学内限定】

話題提供2

次に、酒井准教授からは、学内における教育コンテンツの活用事例について説明がありました。これまでに「KyotoUx」からMOOCを配信された先生方が、どのような形でMOOCを活用されているかの事例が紹介された後、KoALAをはじめとするSPOC、MOOC、OCW、本学のLMSであるPandAの特徴と相違点に関して整理がありました。

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酒井 高等教育研究開発推進センター 准教授による話題提供の様子(画像クリックで動画ページ【学内限定】にリンク)。

そこでは、KoALAがもつリアルタイムでの学習ログ分析機能や、MOOCとの相違点である教材の一部提供の可能性について説明があるとともに、MOOCとKoALA、あるいはPandAとKoALAといったプラットフォームをまたいだ教材の活用可能性が言及されました。
その上で、具体的な活用事例として、複数のMOOCを束ねて一つの教育プログラムとし、各MOOCの受講と修了とを大学院の修了要件に加える「MicroMasters」の試みや、KoALAで公開された、あるいは公開が予定されているコースの具体的な活用方法について紹介がありました。

当日の説明資料はこちら【学内限定】

グループワーク

グループワークで参加者は、

後半、各グループでどのような議論がなされたのかについて報告がなされ、それら報告を踏まえた上での全体討論を経て、1時間に及ぶワークショップは終わりました。
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左:グループワーク全体の様子。参加者は4つのグループに分かれ、議論を行いました。
右:各グループ代表者の報告の様子。

グループワークで出た意見の抜粋
    【MOOCについて】
  • 動画を撮影し、字幕を付けてという様子をみていると、MOOCはハードルが高く感じられる。また、作ってからも、MOOCを使うとどういうメリットがあるかが分からないとなかなか普及しないのでは。
  • (上の意見に対する応答として)MOOCの活用方法としては、実際に全ての講義で反転授業用の教材として利用している例がある。
  • 普及という観点からいうと、留学生は大学院受験用や予習用にMOOCを受講している事例も多い。そのため、日本人学生への普及が課題であろう。一度調査してみたらどうか。

  • 【KoALA (SPOC)について】
  • KoALAの場合、MOOCに比して制作面でのハードルが低く感じられる。ただ、仮に動画を撮影する場合、居室だと音で中断されることもあり、貸しスタジオや機材のレンタル等があると便利だ。また、ディスカッションが盛り上がらない場合があり、それが課題だ。
  • (上の意見に対する応答として)貸しスタジオは、学内のある建物内に自由に使えるところがあったはずだ。編集方法やセットアップの方法に関して、ノウハウ集があると便利だろう。また、ディスカッションを機能させるには、成績と絡めるというのが有効だ。また、そこでお互いに議論することの価値を身につけてもらうためにも、教員が方向づける必要がある。
  • KoALAの手軽さを考えると、学生の教育の一環として、学生主体で制作されたKoALAのコースというのも面白いのでは。
  • ほぼ全ての授業を英語で実施している研究科からすると、日本人学生のサポートという点で、予復習教材をKoALAで作り、それを利用してもらうというのは有効かもしれない。
  • MOOCにもいえることだが、推薦入試等でも使うことができたら面白いだろう。

  • 【OCWについて】
  • 高校生に京大OCWを見せると、熱心に見てくれる。高校生の方がニーズがあるのかもしれない。
  • (ある参加者の場合、)学部/研究科の事情により、授業でICTを用いることは少ないが、今後もオープンキャンパスのOCW化等は続けていきたい。

  • 【PandAについて】
  • 報告書のような重いデータをアップロードでき、また提出状況も確認できるということで、現在PandAを積極的に使っている。案内や要望をすぐに共有できるのもメリットの一つだ。
  • 受講生が多い場合、リプライとフィードバックの手間が膨大になり、大変だと感じることがある。
  • (上の意見に対する応答として)現在、リプライやフィードバックを楽にする新しい技術をテスト中のため、少し待ってもらいたい。

  • 【その他】
  • 教育コンテンツを一から作ることは大変なため、学外のコンテンツを利用するのも一つの手だと考えるが、何か良い方法はないか。
  • 著作権の問題からKoALAに外部コンテンツを取り込むことはできないが、例えばPandAにリンクを貼って、該当するコンテンツに飛ばすという方法が考えられる。