Topics開催報告

総長MOOCイベント
"President's MOOC 'Evolution of the Human Sociality' Live!"

公開日:2017年8月9日 

2015年12月9日、京都大学芝蘭会館山内ホールにて、山極壽一総長が講師を務めるMOOC「000x Evolution of the Human Sociality」と連動した受講者参加型のイベント「President's MOOC "Evolution of the Human Sociality" Live!」が開催されました。

イベント開催の背景

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画像:総長MOOC「000x Evolution of the Human Sociality」のトレーラーより抜粋

京都大学では、2015年10月29日から6週間、山極壽一総長によるMOOC「000x Evolution of the Human Sociality」(「人類進化論」)が開講されました。本講義は、京都大学で始まった霊長類研究の歴史的経緯や、山極総長がこれまで行ってきたゴリラを対象とするアフリカ大陸でのフィールドワーク研究等を通じ、人類の社会性の起源に迫る内容です。
 edX・Coursera等のメジャーなグローバルMOOCプラットフォーム上で配信されているMOOCの数は、世界で現在6000以上に上りますが、2015年当時、現役の総長・学長が講師を務めるMOOCが大学を通じて正式に提供されるのは、総合研究大学としては世界で初めての試みでした。

関連リンク:
総長MOOC開講に関する京都大学公式ホームページ記事
山極壽一 総長によるMOOCオンライン講義配信を開始します。(2015年7月8日)
総長MOOC開講に関するedXブログ記事
Why the President of Kyoto University Decided To Teach an edX MOOC

 講義と並行して、講義で課された課題に基づく研究提案の受講者向けのコンペティションが行われました。コンペティションは、課題の内容について、「アプローチのユニークさや創造性」、「アイデアの独創性」などの観点を設け、選考が進められました。2度の選考会で選抜された4名の受講者が、2015年12月9日に芝蘭会館山内ホールで開催された、受講者参加型のイベント「President's MOOC "Evolution of the Human Sociality" Live! 」において、インターネットを介したリアルタイムのビデオプレゼンテーションによる最終選考に臨みました。優秀者は、後日、京都大学に無料招待され、山極総長や、霊長類学の教員や学生と交流する機会を持ちました。

関連リンク:
総長MOOCコンペティションと優秀者の無料招待に関するedXブログ記事
Win a Primatology Research Trip to Kyoto University!

イベント当日の概要

【1.オープニング】

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山極壽一総長

まず、イベントのオープニングとして、山極総長からの挨拶があり、MOOCの参加者への感謝と、コンペティションで活発な議論が生まれることへの期待を述べられました。
 続いて、edXのCEOであるアナント・アガーワル氏 (Dr. Anant Agarwal) からの祝辞の映像が流されました。アガーワル氏は、総長MOOCの成功を祝福されるとともに、高等教育のさらなる発展のために引き続き京都大学の教職員や学生と協力していきたいと述べました。

【2.コンペティション】

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選考委員(左から、山極壽一総長、土佐尚子教授、キャシー・プー氏、飯吉透教授、平田聡教授)

プレゼンテーションでは、講義中の課題 (Homework 1) として出された、「他の霊長類にはない人類に特有の特徴を1つ取り上げ、具体事例とともになぜそれが人類の歴史において進化したのか説明せよ」という問題に基づく研究提案を行いました。審査は、山極総長、飯吉透教授(京都大学理事補・高等教育研究開発推進センター長)、土佐尚子教授(高等教育研究開発推進センター)、キャシー・プー氏(edX 副会長)、平田聡教授(野生動物研究センター)の5名の選考委員によって行われました。

 厳正な選考の結果、韓国の高校生(当時)のレイチェル・アン (Rachel Ahn) さんと、南アフリカでフィールドガイドを行うガスパール・ヴァン・アム (Gaspard van Hamme) さんの2 名が最優秀者となりました。

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総長MOOCイベントのフロアの様子

 アンさんは、人類のみに見られる特徴として衣服に着目し、(1) 保護 (Protetction)、(2) 注意を引くこと (To attract attention)、(3) 同一化 (Identification) (4) 謙虚さ (Modesty) の4つの観点の仮説を提示しました。
 ヴァン・アムさんは、コミュニケーション様式としての、赤面するという行為を取り上げ、恥ずかしさを感じる社会性に由来する可能性があると指摘しました。

 その他、イベントでは、京都大学農学部4回生(当時)の大塚亮真さんによる研究提案の発表や、総長MOOC受講者の質問に霊長類学の若手研究者2名(本郷峻さん、田島知之さん)が回答する形式の発表が行われました。

優秀者2名の京都大学への無料招待

優秀者2名は、2016年1月27日から2月2日にかけて日本に滞在し、京都大学や霊長類研究所を訪問し、山極総長および霊長類学分野の教員や学生と交流の機会を持ちました。1月28日には、山極総長と面会し、賞状と記念品を贈呈されました。また、コンペティション時に提出された課題について、日本モンキーセンターにおいて開催されたプリマーテス研究会においてポスター発表を行いました。

関連リンク:
総長MOOCコンペティション優秀者の無料招待に関する京都大学公式ホームページ記事
山極総長が海外からMOOCオンライン講義受講の優秀者2名を本学に招待しました。(2016年1月27日~2月2日)
総長MOOCコンペティション優秀者の無料招待に関するedXブログ記事
Kyoto University Invites Student Winners to Japan

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左から、本郷峻さん、ガスパール・ヴァン・アムさん、山極壽一総長、レイチェル・アンさん、田島知之さん

レイチェル・アンさん:「受講する前には、霊長類学についてそれほど知識はありませんでしたが、この講義や今回の滞在を通じて、霊長類の社会構造についての関心がより高まりました。」

関連リンク:
edXによるアンさんの総長MOOC関連の体験を扱った記事 ("Rachel Ahn: My Trip to Kyoto University") はこちら

ガスパール・ヴァン・アムさん:「霊長類研究所の見学中、以前テレビで見た先端的な実験に直接触れることができました。このような体験ができるとは思ってもみませんでした。将来、京都大学から霊長類学関連の新たな講義が配信されるのであれば、是非受講したいです。」

当日のプログラム

2015年12月9日(水)於 京都大学芝蘭会館山内ホール

13:00  オープニング
・挨拶 山極 壽一(京都大学総長)
・祝辞 アナント・アガーワル(edX CEO)

13:10-14:30  コンペティション
・コンペティションの説明
・審査員紹介
・海外学生によるプレゼンテーション 4名
・京大学生によるプレゼンテーション 1名
・総評・表彰

関連リンク
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山極総長の講義が配信されているKyotoUxはこちら

総長イベントの映像(アーカイブ:閲覧にはedXの登録が必要)

総長MOOCに関する京都大学公式ホームページ記事
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