Topics教員インタビュー

CONNECTに期待すること

京都大学 教育担当理事・副学長 北野正雄先生

CONNECTのオープンにあたり、教育担当理事の北野先生に本サイトの意義や期待すること、京都大学(以下、「京大」)におけるICTを活用した教育に対する考えをインタビュー形式で伺いました。 CONNECTが、京大がもつ様々なプロジェクトや取り組みをつなぎ、京大の多彩な教育に触れることのできる「広場」のようなサイトになればいいですね、という期待の言葉を頂きました。

各要素をつなぐ、「広場」のようなサイトとして

以前にCONNECTのプロトタイプ版をお見せしたとき、こういうサイトがあると良いというお話を頂きましたが、どのあたりに期待が持てそうだとお感じになりましたか。

京大にはOCW(OpenCourseWare)やLMS(Learning Management System)のPandA等、様々な取り組みがありますが、それぞれが要素としてバラバラにあって、どこからいけば良いかが分かりづらいという問題がありました。CONNECTがある種のポータル、先生方にとっての一つの入り口になると、大変良いかなと思いますね。

各「要素」を「横断する」というイメージでしょうか。

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そうですね。一教員の立場でいうと、「ここにいくと色々と面白いものがある」「アイデアやヒントがみつかる」といってみんなが来てくれる、そんな広場みたいなものになると一番良いですね。
CONNECTを訪れることで、学内のあちこちのプロジェクトにつながっていく、というイメージが良いと思いますね。

意外と多彩でレベルの高い、京大の教育を見せる場所として

CONNECTでは、特色ある取り組みをされている先生のインタビューなども積極的に載せていきたいと思うのですが、教育担当理事として、京大の教育についてはどのような感想をお持ちですか。

色々な仕事のなかで感じているのが、京大って、研究は勿論だけれども、教育という側面からみても、それぞれの先生がもつ顔は意外と多彩で、レベルが高いですよね。そういう側面が見えるようになるだけでもすごく良いと思いますね。
(補足:北野先生の出身研究科でもある)工学研究科でも年に1回シンポジウムをやっていて、学生アンケートで評価の高かった人を選んで報告してもらっています。どんな授業をしているのかということをそれぞれの先生に話してもらうのだけれども、それを聞いているだけでも十分面白くて。

私も以前に工学研究科の先生のお話を聞いたことがありますが、綿密にデータをとってそれを教育に活かされていて、とても印象深かったです。

色々な教員がおられて、色んなやり方で頑張っておられる。それは、同業者である我々が聞いていても、十分に面白いと思えるようなところがあるので、それが今回のCONNECTのなかで、表に見えるようになるのは意味があるなと思っていますね。

これまで見えなかった教育実践を「見える化」していくわけですね。そういった多彩な取り組みについて、仲間内の先生同士はご存知なのでしょうかね。

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いや、あまり知らないと思いますね。意外と知らないものです。公開授業の取り組みをやられている大学もありますが、京大のカラーにはなかなか馴染まないところもあって。そういう点では、CONNECTを通じて、学内の教員同士、お互いの授業実践を知る機会になるといいなと思います。
また、こういったサイトがあると、学外に向けても、京大は研究大学だけれど、教育でもこういった面白い教育の仕方をしている、決して手とり足とりの教育をしているわけじゃないんだけど、ワクワクするような教え方をされている先生がいる、というのが見えますよね。

ICTを用いた教育の推進について

ICTを用いた教育という視点からはどうでしょうか。京大では、MOOC(Massive Open Online Courses)や、OCWなど、オープンコンテンツの配信という意味では先駆的な取り組みをしていますが。

今の時代、特に、若い人たちはそういうもので情報を仕入れているわけで、当然そういった視点は無視できない点だと思っています。少し検索をかければ、マニュアル代わりの「なになに入門」といった動画を簡単に見つけることができますし、そういうものを使って勉強している世代が大学に入ってきているわけですからね。

利用できるコンテンツやツールが増えたという感じでしょうか。

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そうですね。だからこそ、それらを上手に使う、という視点は大切ですね。
各種のツールがうまく機能するようにしたり、一つ一つのコンテンツをちょっとずつレベルアップしたり。CONNECTの取り組みが、そういうものに繋がっていくと良いと思いますね。

私たちとしても努力していきたいと思います。この度はお忙しいところ、有り難うございました。


(聞き手:田口真奈/記事構成:鈴木健雄/インタビュー実施日:2017年2月17日/本記事公開日:2017年5月17日)