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先生が楽しむ、まずはそこから

高槻中学校・高等学校 教諭(生物科) 奥野直人先生

インタビュー

奥野先生は、顧問をされている生物部の夏季合宿において、京都大学のOCWを活用したワークショップを実践されました。詳しくはこちら
そこで、いち早くOCWを活用された実践者のお立場から、具体的な活用法やOCWとの付き合い方について語っていただきました。
今後OCWの活用を検討されている先生方に向けた、熱い言葉が満載です!

科学×英語のツールに最適

―先生にとって使いやすいOCWはどんなものですか。
普段50分しかない授業の中で生徒に見せる動画って、どんなに長くても20分なんですね。
50分という限られた授業時間のなかで45分間動画を見せるっていうのは、それは授業としてはね、100点ではないと思いますので。ですから、コンパクトにまとまっていて、一回完結で、意外性もあり、初めから終わりまで一つのストーリーがパッケージになっているのが理想的ですね。あとは、ある程度一般向けにされている講義のほうが目に留まったし、実際にちょっと見てみても、良かったですね。使いやすそうでした。
―今回活用された「100年生きる昆虫は存在するか?」はぴったりだったわけですね。ほかに気になったコンテンツはありましたか。
たとえば、「DNAはどうやってこどもたちに受けつがれるの?」は使いやすそうに思いました。
英語のコンテンツでしたが、内容的にも英語のスピード的にも理解しやすく、SSHのカリキュラムなどで求められる、「科学英語」の授業等に活用出来そうだと感じました。サイエンスというものの教育と、国際的な英語教育というものをリンクさせるにはちょうどよいと思います。ある程度平易なテーマを、日本人が研究のために覚えた英語で、頑張って話している・・・って言ったら失礼ですけど、ネイティブの方の流暢な英語よりもとっつきやすくてありがたい。外国の人にも理解してもらえる共通言語としての英語を生徒に見せることができるので、その意味でもいいのかなと思っています。

どんな知識も「未知を解明するプロセス」に埋め込まれている

―OCWを使われた前と後で、先生の中で変わったことや感じたことはありましたか。
サイエンスというものは、「未知のことを知ろうとする、解明していく」ということがベースにあるということを、ずっと忘れずにいたいと思うようになりました。教科書に載っていることを断定的に教えるばかりじゃなくて、「教科書に載っているこの知識はどのようにして先人たちが解明してきたのか」あるいは「わかっていないことは実はあるんだ」ということも生徒に伝える。
あくまで自然科学を研究している過程で明らかになっていることだというスタンスで教えないと、科学的な興味関心のある子たちを本当の意味で引き付けるようなことはできないなと。むしろそういう部分を面白いと思える子を育てないといけないなと思うようになりました。松浦先生の「100年生きる昆虫は存在するか?」が良かったのはそういうことだと思います。まだ教科書に載っていないようなことを最前線で研究されている先生が、これがわからなくて、これが疑問で、こういう仮説を立ててこういう実験をしたら、こういう結果だったと、あるいは、こういうことが予想ができると示していく。既知の知識であっても、そういうストーリーのなかで教えていきたいですね。
―「それはわかるけど、余裕がない・・・」という声もあるかと思います。
たしかに、全部が全部そういうふうにできない部分もあります、時間的にも。だけどそれがベースにあるとないとでは、生徒への伝わり方が全く変わってくると思います。受験に出るから教えるみたいな考え方を最初からしてしまうと、本当に受験勉強としての教科になってしまうので。いま中一を教えているので、ストーリーとしての教え方の重要性はすごく感じますね。「受験に出るから」といっても食いつきませんから(笑)。しかも、ある程度中学校の教科書的な部分は、先取りで塾でも教えられます。中学受験のための塾で、中学校の教科書レベルのことは、知識としては結構知っているんです。だから、すでに知識として知っている子に対して本当に単なる知識として教えたら、「先生それ塾で習いました」という話になってしまうし、実際そういうことがある。
じゃあ、わざわざここで何を教えるか、何を考えてほしいかってなると、自然現象を研究する、あるいは未知のことを解明していくという話をベースにしないと、生徒は興味をなくしてしまいますよね。講義であれ実験であれ、どんな手法を使ったとしても、スピリッツとしてそういうのがないと厳しいなと。そういうのを痛感しますね。

自身の興味を大切に、気軽に「引き出し」を増やして

―これからOCWを使ってみようと思っている先生や、どういうふうに使えばいいだろうと悩んでいる先生にアドバイスをお願いします。
大学の内容でもあるので、100%理解できない内容も、きっとあると思うんですよね。大学の先生の授業を、講義されている先生と同じレベルで理解できるわけではないですから。けれど、あまりそれを恐れず、自分が素直に面白いなと思うものを、生徒に見せればいいと思います。授業でも、ちょっと小休止というか、ちょっと気持ちを変えたくなるようなタイミングって絶対あるんですね。カリキュラムどおりに進んではいるんだけど、ちょっと時間が空いた時とか、テスト直後でまだ次の授業に入るには少し余裕があるなというときとか。そういうときのために、普段から「これ使えそうかな」と思うものをいくつかピックアップしておくと、何かの折に役に立つかもしれない。それを使わなきゃいけないなんて思う必要もないだろうし、自分の引き出しを一つ増やす、くらいの気持ちでいいのではないでしょうか。
京都大学としても、授業としては大学生向けにやっていたりするものだから、全部を高校生が活用できるなんて意図してつくられたものではないですしね。「自分の引き出しに加えてもいいようなものが、一つ二つ見つかればいいかな」というくらいの気持ちでちょうどいいと思いますよ。
―「教育のため」と気を張るのではなく、まずは自分の興味関心を深めるツールとして使ってみるということでしょうか。
そうですね。いきなり生徒に見せるのではなくて、まずは自分が楽しむことです。「これは使えそうだ」という感覚は、どれだけ先生が楽しんだかに応じて出てきます。どの先生も基本的に、科目によらず、みんな日々ネタを探し、引き出しを増やそうとしているんですよね、職業的な性(さが)としてね。ただ、世の中には一般向けのものばかりがあるので、そのなかで京都大学の授業という、いわば最高峰のものを、気軽に、無料で観れたらいい。
僕が大学生の時は、「これは将来、高校の授業で使えるかもしれない」という目線で授業を受けていなかったから、逆にあのときあの授業で、もっと情報収集して勉強しておいたら今使えたかもしれないなということも、今思い返したらあるんですね。そういった学生時代に吸収しきれなかった部分を、読書や研修で補うのももちろん大事だけど、もうちょっと入り口として入りやすい形なのがOCWかなと思います。
 
―「OCWは難しそう」と思う先生も多いかと思います。気楽に使えると思われたのはどうしてですか。

繰り返し何度も見られるというのが魅力かなと思いますね。僕も松浦先生の動画を生徒に見せるにあたって、何度も同じところを見返して、「あ、ここはこういう補足をしたらわかりやすいかな」と思うこともやっぱりあったので。そのなかで、「これは自分でも難しいくらいだから、ここは生徒に見せてもしょうがないな」と思う部分もきっとあると思います。それだったら、そこは見せずに部分的に切り取って活用すればいい。そういう意味では、便利使いできたらいいかなって思いますね。あとは何より、ネットサーフィンの感覚で楽しんで観ることができるのは大きいと思います。仕事!と思ってやらないことですね。実際僕も、家でリラックスしながら、スマホとかタブレットで、ばーっとチャンネルをザッピングするような感覚で見ていましたよ。
未知への探究というプロセスに対する真摯な思いを、「引き出し」を増やすなかで楽しんで体現されている様子が印象的でした。ありがとうございました。
(2017年9月22日)
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