PRESS RELEASE

2015年8月28日
国立大学法人京都大学
富士通株式会社


京都大学と富士通、
学習エビデンスデータを活用した
新しい教育・学習実現のための共同研究を開始

 国立大学法人京都大学(所在地:京都府京都市、総長:山極 壽一、以下、京都大学)と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中 達也、以下、富士通)は、京都大学内外の様々な学習支援 システムに蓄積された履修記録や教材アクセス記録などの学習エビデンスデータを、効果的な教育手法の確立や学生の自主的な学習促進に役立てるための研究を、2015年6月から2016年3月まで実施します。
 本研究では、これまで教員が行ってきた教育手法やカリキュラム、および学生の学習行動が、どのような学習成果に繋がっているかを、学習エビデンスデータから分析します。また、その分析結果から、新しい教育手法や自学自習を支援する学習手法、およびこれらを実現するためのICTプラットフォームを開発します。これにより、京都大学の伝統である自学自習の効果をより向上させるとともに、大学に限定せず、市民が生涯にわたって活用できる新しい教育・学習を実現することで、社会への貢献を目指します。

【背景】
 政府の日本経済再生本部による日本再興戦略に「日本の大学を世界のトップクラスの水準に引き上げる」 とあるように、大学教育に対する国や社会からの期待が大きい反面、 従来の大学教育改善は、教員個人の経験や判断によるところが大きく、客観的かつ持続的な改善に有効な定量的な評価の方法が望まれています。

エビデンスデータの統合・分析・可視化から実証への流れ
エビデンスデータの統合・分析・可視化から実証への流れ

【研究概要】
 京都大学は、2004年頃から各種の教育・学習支援システムを導入し、授業出席状況、試験結果、教材・資料の参照日時などの学習エビデンスデータを蓄積しています。また、2014年4月に日本の大学として初めて講義を提供したedX(注1)には教材ビデオの視聴日時や理解度テストの回答状況などの学習エビデンスデータが蓄積されています。
 富士通は、2004年から学習支援システムの提供を開始し、2012年には学習支援システムに蓄積される様々なデータを分析して学習行動の特徴をチャートで示す機能(注2)を国内で初めて提供し、学習エビデンスデータの活用により教育の高度化を支援するシステムの提供に取り組んできました。
 今回、京都大学と富士通は、京都大学が蓄積している学習エビデンスデータを分析し、教育や自学自習の新しい手法と、これらを実現するためのICTプラットフォームを開発します。京都大学は主に、従来の学習との比較や分析と、その結果を活用した新しい教育・学習方法の開発を行い、富士通は主にICTによるデータ分析と、新しい教育・学習方法を実現するためのICTプラットフォームを開発します。

1.研究期間: 2015年6月~2016年3月

2.研究内容:
(1) MOOC(注3)を対象にした学習データの分析・可視化(2015年6月~9月)
 edX上に蓄積されている、学生の学習エビデンスデータを用い、学生の教材ビデオ視聴などの学生の学習行動と、学習理解度などとの関係性を分析するためのツール開発と、そのツールを使用した分析を行います。 京都大学は主に学習エビデンスデータの提供や分析方針の検討を行い、富士通は主に分析ツールの開発やデータ分析を行います。

(2) 学内の教育・学習支援システムのデータの統合・分析・可視化(2015年10月~12月)
 edXのMOOCによる学習エビデンスデータに加え、OCW(注4)、LMS(注5)、および学内の様々な教育・学習支援システムからも学習エビデンスデータを特定して集約・統合し、より多くの情報から教育・学習方法の効果を分析します。また、これらの分析結果をわかりやすく可視化するダッシュボードも開発します。 京都大学は主に学習エビデンスデータの提供や分析・可視化方針の検討を行い、富士通は主にICTを活用した統合・分析・可視化ツールやダッシュボードの開発、およびデータ分析を行います。

(3) 大学教育の場での効果検証(2016年1月~3月)
 開発したツールやダッシュボードを一つのICTプラットフォームに統合し、MOOCを活用した講義から大学教育の場まで広く適用します。また、その結果として試験結果から得られる学習理解度や アンケートから得られる学生の満足度などを評価し、効果を検証します。

教員向け:教育手法やカリキュラムの改善の効果を可視化し、学習エビデンスータの活用が教育の最適化に有効であることを検証します。
学生向け:積極的な予習や課題の実施などの学習への取り組み状況や試験結果などのランキングで各学生の位置づけを提示することが、学習意欲を高め、自学自習に効果を与えることを検証します。


3. 個人情報とデータの取扱いについて
 京都大学内に閉じたシステム環境下で、京都大学と富士通が、本人の同意を得た上で取得したデータや個人情報の分析を行います。取得したデータや個人情報の保管には万全を期した上、本実証終了後に破棄します。

【 今後について 】
 京都大学は、本研究の成果を活用し、グローバルに活躍できる人材育成につながる教育の実現に尽力していきます。
 富士通は、本研究で開発するICTプラットフォームを活用し、学生に限らず誰もが利用できる効果的な生涯教育・生涯学習の環境を開発して提供し、社会に貢献することを目指します。

【 注釈 】
(注1) edX: ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)に代表される世界のトップ大学連合による非営利組織によって運営されている、世界的なMOOCの提供機関。
(注3) MOOC: Massive Open Online Courses(大規模公開オンライン講義)の略。インターネットを通して大学レベルの講義を、世界中に無料もしくは安価に提供する取り組み。
(注4) OCW: OpenCourseWareの略。大学講義のビデオや教材を、無料でインターネットに公開する取り組み。
(注5) LMS: Learning Management Systemの略。大学の講義での学習を支援するシステム。講義資料の提供や課題の受付、理解度テストの実施、掲示板などの機能を提供する。


【 関連リンク 】
日本再興戦略 –JAPAN is BACK- 平成25年6月14日(PDF)
京都大学ホームページ NEWS「日本で最初にedXのコンソーシアムに参加しました。(2013年5月21日)」

【 報道関係者問合せ先 】
国立大学法人京都大学
高等教育研究開発推進センター 連絡担当:坂本
電話:075-753-9353(直通)

富士通株式会社
広報IR室 担当: 横山
電話:03-6252-2174(直通)


【 本件に関する問合せ先 】
国立大学法人京都大学
高等教育研究開発推進センター 連絡担当:坂本
電 話:075-753-9353(直 通)

富士通株式会社
文教ビジネス推進統括部
教育イノベーション事業企画室
担当: 毛利
電話:03-6252-2335(直通)