東北大学インターネットスクール

(1-e) e-Learning

東北大学インターネットスクール

文責: 渡部 信一

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◆授業科目名:

東北大学インターネットスクール

◆授業担当者:

渡部 信一 (東北大学大学院教育情報学研究部教授)他

◆東北大学インターネットスクールを詳しく知りたい方は:

Homepage: http://www.istu.jp/index.html

100年の伝統を持つ「東北大学」

東北大学は、東京大学・京都大学についで三番目の帝国大学として1907年(明治40年)に創立された。建学に際しては「研究第一主義」と 「門戸開放」を標榜している 。 東北大学は、理科大学(いまの理学部)から出発したが、このときのコンセプトである「模倣よりも独創」 という学風は現在までも全学に引き継がれている。その後、医科大学(いまの医学部)、工学部、さらに文系の学部が創設された。 「研究第一主義」の精神は、多くの世界的な独創的研究を生み、優れた卒業生を多数輩出した。東北大学を訪れたアインシュタインは、 帰国後、仙台は学術研究にもっとも向いた都市であり、恐るべき競争相手は東北大学である(1922年)、と述べたといわれている。

現在、教官数 2,587名、事務官 2,427名、学生数は学部 10,961名、大学院 6,133名を有している(平成13年5月現在)。また、 外国人研究者の受け入れは、12年度実績で1,154名。教職員の海外派遣は、2,643名、そして外国人留学生の数は865名に及ぶ。これらの教職員 および学生が、10の学部、13の大学院研究科、5つの附属研究所などに所属し、最先端の研究教育を行っている。平成13年度科学研究費補助金の 採択件数は東京大学、京都大学に次いで第3位となっており、その配分総額は、5,882,780,000円にも及ぶ。

国際シンポジウムの「東北大学宣言」

20世紀最後の夏、つまり2000年の8月、東北大学主催による「21世紀の研究と教育に関する国際シンポジウム ISRE2000 」が8日間にわたって 仙台で開催された。参加者は、東北大学と国際交流協定を締結している世界の大学・研究機関の学長や研究者 、東北大学関係者と市民等、 総数約4200名であった(その内、1300名は海外からの参加者)。東北地方とはいえ30度を超える暑さの中、様々な国の人々がキャンパスに 隣接する国際センターに集い、21世紀の研究と教育について熱心な議論を行った。このシンポジウムを終えるに当たって、東北大学は ひとつの決意を表明した。これが「東北大学宣言」である。

これにより東北大学は、150を超える世界の協定大学を中心とした国際交流を、ITを利用した双方向遠隔授業によりさらに深めて行くことを 確認した。さらに、これらの経験を生涯学習等に拡大・発展させることにより、東北大学が持つ高い水準の知識や先端的な技術を広く社会に 公開して行くという方向性が示されたのである。

「東北大学宣言」

1.大学間国際交流協定の新たな展開
東北大学は、現在、31カ国の大学間で29、部局間で114の交流協定を締結している。協定大学との関係が大学間の定常的な研究・教育交流の 基軸の1つになっていることに鑑み、これを国と大学について拡大する。幸い本学は国際的に活座する優れた研究者を多数摸しているため、こ れらの研究面での事実上の共同作業や国際協力を大学間の、あるいは部局間の新たな研究・教育交流協定に発展させ、さらに多くの国々の多くの 大学との間で、定常的、安定的な研究・教育における国際協力関係を樹立する

2.大学国際機構への取り組み
東北大学は、協定による大学間・部局間関係の拡大にとどまらず、大学の国際機構の樹立に取り組む。アジア・オセアニア地域における 代表的な研究大学の1つとして、「アジア太平洋大学交流機構(UMAP)」に積極的に参加することの検討を開始し、欧州単位互換スキーム (ECTS)等を考慮した、アジア太平洋大学機構単位互換制度(UCTS)の導入など、新たな国際交流制度の検討を行う。また、将来、 ヨーロッパやアメリカの学生交流制度とアジア・オセアニアの学生交流プログラムとを結合する役割を担っていきたい。

3.IT連携システムヘの取り組み
東北大学は、ITの現状と可能性を踏まえて、ウエッブ・サイト上に、大学間の研究と教育の国際協力の機構を作る作業に取り組む。 研究面では公式の論文発表の場であり、討論の場であり、また教育面では動画による授業の提供・保存と再生、討論、試験やレポート提出等が 自在に行われ学位の授与も行われるような、国際的大学連携によるサイバースペース・ユニバーシティを築きたい。そのためにまず、 技術的には高い水準にある東北大学のITをさらに高め、パソコンによる双方向遠隔授業や社会人教育のコンピュータネットワーク授業を 拡大するなど、ソフトや制度面においてITのより一層の充実を進める。特に、英語授業による先端科学技術、コミュニケーション、 文化に関する遠隔教育プログラムの充実を検討する。

4.研究の国際協力の拡大と強化
東北大学は、毎年多数の研究者に長期・短期にわたって在外研究派遣を行い、また多数の研究者を受け入れている。さらに多数の 国際的共同研究を行い、実績を挙げている。この実績を大きく伸ぼすために、大学独自の在外研究制度など国際共同研究に対する助成制度を持ち、 また、特に国際的な有力研究者や若手研究者の受け入れの条件を整備することに努める。研究設備や建物などはもちろん知的交流を促進できる 研究環境、給与や手当面の処遇、住居、医療・保健面のケア等、改善に努める。

馬渡ワーキングから文部科学省に対する概算要求まで

「東北大学宣言」を受けて、2000年秋、馬渡尚憲副総長を中心とした「馬渡ワーキンググループ」が召集された。私もそのメンバーとして 参加することになったが、その他には国際シンポジウムの事務局をつとめられた流体科学研究所の圓山重直教授、工学研究科の渡邊龍三教授、 情報シナジーセンターの曽根秀明教授、国際文化研究科のホールデン・タッド教授などが参加した。8名程度の小規模な、馬渡副総長の私的な ワーキンググループという位置づけであったが、東北大学の将来を担っているという自覚を持つ各メンバーからは活発な意見が続出した。

この馬渡ワーキンググループが最終報告書を阿部博之総長に提出したのは、2001年 2月、まさに21世紀を迎えてまもなくのことであった。 この報告書によって、東北大 学に「ISTU(当時は仮称)」、つまり「Internet School of Tohoku University」 を設置するという方向性が 公のものとなり、基本的な枠組みが示されることになった。この報告書の中には、ISTUの開設時期が明記されていない。しかし、 我々ワーキンググループのメンバーの頭の中にあった開設の時期は、2003年4月。この時には、実際のスタートが1年前倒し、 つまり2002年4月になろうとは誰ひとりとして想像していなかったのである。

これを受けて、2001年2月の部局長会議に「ISTU  Internet School of Tohoku University(仮称)設置構想検討委員会」の設置が提案され、 3月開催の評議会(大学の最高議決機関)でその設置が承認された。委員長には菅井邦明教育学研究科長が就任したが、これは「ISTU」が 当初から「教育学」を中心にして構想されたことを意味している。その後、東北大学インターネットスクールの設置は、5月の評議会にて 概算要求することが認められ、概算要求にいたったのである。

大学教育開放センターと情報シナジーセンター

東北大学インターネットスクールの立ち上げにとって、「大学教育開放センター」と「情報シナジーセンター」の存在は重要である。 大学教育開放センターは、1973年、教育学部の附属施設として設置されたが、この種の施設としては日本最初のものであった。 大学教育開放センターの目的は、大学が多年にわたって蓄積してきた研究成果を基盤として、大学教育を広く市民に開放しようとするものである。 これは旧制「帝国大学」でありながら「開かれた大学」を掲げてきた東北大学だからこそ可能になったことかも知れない。

1980年代には放送大学との共同事業が始まり、放送というメディアを使っての大学開放が実施された。また、1999年からは、 インターネットによる「ネット開放講座」も実開始されている。さらに、「研究ノート・大学と社会」を始め、多くの出版物を通して、 大学の研究成果を市民に開放してきた。(この大学教育開放センターは、ISTUの設置にともない廃止されることになった)

一方、全国共同利用施設の情報シナジーセンターは、平成13 年情報関連の総合的な組織として、大型計算機センター、情報処理教育センター、 総合情報システム運用センター、及び附属図書館の一部を組織統合して設置された。スーパーコンピュータによる大規模高速計算の提供、 データベースとアプリケーションライブラリの提供を始め、高速キャンパスネットワーク「TAINS」の提供管理、教育の情報化支援、 東北大学蔵書検索システムの運用などを行っている。東北大学の学内ネットワーク(LAN)は「TAINS( Tohoku University Academic/All-round/ Advanced Information Network System )」と呼ばれ、1995年からはATM方式を用いた超高速 (622Mbps)のバックボーンネットワークSuperTAINS が運用されている。このネットワークにより、仙台市内に広く分布する6つの 主要キャンパスがそれぞれ相互に接続されている。東北大学インターネットスクールは、このような恵まれたインフラ環境を背景として 設立されたのである。